Daisy Bellの憂鬱

日々の出来事の記録(秋は高専ロボコン)

高専ロボコン2022 北海道地区大会 ネット観戦メモ

※本記事は当サイト管理人が過去に別サイトで掲載していたものを転載・一部修正したものです。(元サイトは閉鎖予定)

photo by Philip Myrtorp(https://unsplash.com/ja/@philipmyr)

2022年10月16日(日)に旭川工業高等専門学校で行われた、高専ロボコン北海道地区大会の観戦メモです。

高専ロボコンとは、全国高等専門学校連合会とNHKが主催する「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」のことです。 

official-robocon.com

この記事はただの高専ロボコン好き文系出身女が、備忘録代わりに対戦結果と自分なりの考察をメモしたものです。そのため、ロボットに関する専門知識はありません。
また結果もベタ書き状態なので、見づらい・わかりにくい点はご容赦を。

さて、地区大会も第3週目、北海道地区大会です。
注目は昨年の北海道地区大会優勝校、旭川工業高等専門学校でしょうか。
コロナの影響でロボット製作のスケジュールに大きな影響が出た学校もあるそうですが、どの学校も試行錯誤と練習の成果が発揮できるよう祈ります!

2022年の大会のテーマ

ラクル☆フライ 〜空へ舞い上がれ!〜

本記事はYoutubeでの北海道地区大会LIVE配信、及びアーカイブの観覧により作成しています。

youtu.be

競技ルール

ロボットが紙飛行機を飛ばして5箇所の円形スポット、2箇所の滑走路、2箇所の筒状ベースに着地させる競技です。(競技時間2分30秒、1試合で赤・青に分かれての対戦形式)
紙飛行機が着地した場所によって得点が異なり、より高得点を獲得したチームが勝利します。
またすべての円形スポット、滑走路、筒状ベースに1機以上紙飛行機を着地させることに成功した瞬間にVゴール達成となり残り時間に関係なく勝利となります。
(上のリンクの動画 40:00〜 頃から、実際のフィールドを使ってのルール説明あり)
紙飛行機の数に制限はないので、数撃ちゃ当たるの大量に飛ばすスタイルか、狙ったところに着地させる精度を高めていくか、はたまた相手のチームが乗せた紙飛行機を自分のチームの紙飛行機で落とし妨害するか…?などなど、各チームの戦略とそれを実現する技術のせめぎあいも見ものです。

ルール詳細については、公式サイトで配布された以下のリンクのpdfからご確認ください。

ルールブック

FAQ

北海道地区大会出場校

全4高専からA、Bの2チームが出場。合計8チームで争います。
全国大会出場枠は2つです。(優勝、推薦)
なお本大会の解説は、公立はこだて未来大学の鈴木恵二教授です。

 予選ラウンド 対戦結果・メモ

北海道地区大会の予選ラウンドはA,Bの2グループに分けて行われました。各チームは予選ラウンドで2試合を戦い、勝敗数や得点数などで決勝トーナメントに進出する4チームが決定します。

下記記述内容は
・★マーク付チームが勝利
・「(チーム名):...」→ アナウンサーが説明する、事前の取材によって判明しているロボットの特徴。試合を見てわかった特徴。
・「メモ> …」→ 私が見て感じた感想、考察(妄想とも)
・「実況・解説>...」→実況・解説のやりとりの要約。
・「解説者談>...」→ 解説者による説明、考察(解説者がいない大会の場合、記述はありません)
としておりますが、予選第3試合あたりから細かく分けようがない感じになってきて全部ベタ書きになったりします。そのへんはご了承ください。

第1試合

A:★旭川B vs 釧路A 0−0(審査員判定 3−0)
旭川:射撃型ロボット。上段2つ下段1つ計3つの射出機構。大量に紙飛行機をセット。
メモ>上の射出機構からスムーズな連射!しかしなかなか得点はできず…。
解説者談>紙飛行機の打ち出し方としては、ピッチングマシンのように2つのローラーで挟んで射出していた。問題は、束になっている紙飛行機から1機ピックップして射出口にセットするか。これが大変むずかしい。紙飛行機の折り目をうまく引っ掛けることによって1機ずつピックアップする技術とアイデアは素晴らしい。
釧路:シンプルな構造。エアタンクを使い空気の力で押し出して紙飛行機を飛ばす。1度にセットする紙飛行機は3機。
メモ>新型コロナの影響で学校が1ヶ月弱閉鎖…。
解説者談>床のゆがみのせい?でロボットのタイヤが空回りして想定の位置につけない様子。その後調整しテイクオフゾーンに進みスポットを狙うが、うまく乗らず。
解説者談(試合後)>
紙は素材として非常に扱いにくい。例えばプリンター(にセットされている状態の紙)だと折っていないのでだいたい性質は同じだが、折ってしまうと1枚1枚、1機ずつ性質が変わってしまう。なのでピックアップするのが非常に難しくなってくる。

B:★釧路B vs 苫小牧B 0−0(審査員判定 2−1)
釧路:昨日のテストランでは飛行機が上空に浮いてしまう感じだったが、今日はロボットにカバーをつけた。ピッチングマシン型で紙飛行機を射出するが、この方法は飛行機が揺れてしまいうまく飛ばない。それを抑え込むためにカバーをつけた。射出口の角度は45°。
メモ>何度かスポットに乗りかけるも、惜しくも落ちてしまった…!
解説者談>釧路のシンプルな機構で丁寧に狙うのも、戦略上のひとつの優位性になる。
苫小牧:円形に飛行機をセットし、エアの力で射出する。下側がパンタグラフになっているので、高さ調整もできる。もうひとつロボット下部にも射出機構がある。
メモ>ロボット下部の射出機構からは上向きに打ち上げるように紙飛行機を飛ばす。パンタグラフ付の射出機構からは、高さを出し上から下へ着陸態勢のような角度で飛ばす。
解説者談>エアを使った射出は、手首でスナップを効かせるような動きで射出。

第2試合

A:★函館B vs 苫小牧A 1−0
函館:ピッチングマシーン式の射出ロボット。1回に2つの紙飛行機をセット。丁寧に1機ずつ飛ばす作戦。2種類の紙飛行機を用意。
メモ>開始10秒でスポットに乗せた!ふんわり、まっすぐとした軌道。安定した動きで何度もチャレンジ。
実況・解説(試合後)>2つのチームで同じゾーンで争うので、思うような位置にロボットを持っていけないこともある。その中で戦略的にどう位置取りをするのかも重要なポイント。うまい位置に移動できればさらなる得点の可能性もあった。
苫小牧:二刀流型のロボット。パチンコ式で一斉に飛ばす方式と、チェーンを使って1機ずつ装填しながら飛ばす方式の2種類で挑む。
メモ>まずテイクオフゾーンの中央に移動。パチンコ式で一気に紙飛行機を射出!もう一つのチェーンを使った装置には不具合?なかなかうまく飛ばない。
実況・解説(試合後)>たくさんの紙飛行機を乗せるために竹ひごをチェーンの上に指し、チェーンを回しながら装填していく発想はなかなかできない。チェーンも3Dプリンタで作ってきた技術力も素晴らしい。チェーンを金属ではない素材で自作することで軽量化にもつながる。

B:函館A vs ★旭川A 2−9
函館:カタパルト式射出機構(空母で飛行機を飛ばすのに使われている方式)。1機ずつ射出。スマホがコントローラー。
メモ>ロボットの顔かわいい。大きな紙飛行機で手前のスポットにふわっと乗せてる。旭川のロボットが大きいので、相手チーム陣寄りの位置まで移動し動きを封じる作戦も?
旭川:紙吹雪型ロボット。相当な数の紙飛行機をセット。
メモ>あらゆる方向に、移動しながら紙飛行機を飛ばす様はまさに紙吹雪!函館のロボットが旭川のロボットの移動を邪魔するような動きをしたが、その後ろからお構いなしで大量射出…。片付け大変!笑
実況・解説(試合後)>上段のピッチングマシーン型の発射機構は数百の紙飛行機を載せられる。下のカードリッジと呼ばれる箱には400〜500機セットできる。テストランでは飛行機を重ねて射出しているという指摘があった(2枚以上重ねて飛ばすのはルール違反となる)が、本番までに修正してきた。

第3試合

A:釧路A vs ★苫小牧A 0−1
空気の力で飛ばす釧路と、パチンコ式とチェーンを使う射出の二刀流の苫小牧の対決。
苫小牧は第1試合ではうまく動かなかったチェーンの機構がうまく動作。ラスト10秒でパチンコ式の射出から得点!
釧路は途中でロボットが回転するなど、操作不能?に…。
実況・解説(試合後)>
釧路は1年生チーム、さらにコロナで1ヶ月近く学校が閉鎖するなど十分な準備をする時間がなかったと思う。その中でも動くロボットを作ってここまで来たことは褒め称えたい。

B:苫小牧B vs ★函館A 0−0(審査員判定0−3)
八角形&パンタグラフの苫小牧と、カタパルト式射出機構の函館の対決。
苫小牧、1試合めで足回りが壊れてしまい動けず、ほかの機構は動くのにスタートゾーンから全く出られず…これは悔しいよね…。
函館は10秒で2回めの射出など動きが素早い!揚力の高いA3の紙を使ってスポットを狙う。
実況・解説(試合後)>
何試合もやると耐久性も問題になる。見てる方は「もっとしっかり作ってこいよ」と思うかもしれないが、重量制限等があるため、しっかり作りすぎると重量制限に引っかかってしまう。軽量化しつつ動かすとなると、どうしても耐久性が落ちたりする。
苫小牧は円形の装填装置をパンタグラフに乗っけるなど、見ていても面白いものを作ってきてくれたところにロボット作りへの挑戦的な態度を感じた。

第4試合

A:旭川B vs ★函館B 0−2
上段2、下段2の3つの射出機構で連射する旭川と、シンプルな射出とスマホでコントロールできる函館の対決。
旭川は足回りのトラブルでスタートゾーンから出られず。なんとか起動しようとするが、時間切れ…。
函館はイカ型の紙飛行機で手前のスポットから狙う。丁寧にスポットにのせて2得点!
実況・解説(試合後)>
旭川は残念な結果になったが、非常によくできてるロボットだった。たくさん重ねた紙飛行機は前と後ろで厚さで変わってしまう。それをちょっと変わったカーブの台座で抑えるというアイデア、重なった紙飛行機を1機ずつピックアップしていく技術と思いつき(折ったところを針のような機構で引っ掛ける)は素晴らしいと思う。どうピックアップするかというアイデアを出せる能力が、我々の社会の未来において便利で安く大量にいつでも買えるようになるという未来を築いてくれる。我々の生活をもっと便利にしてくれる技術者に育ってくれると思うと非常に楽しみ。

B:釧路B vs ★旭川A 2−5
ピッチングマシーン型のシンプルな機構で丁寧に狙う釧路と、数で勝負の紙吹雪・旭川の対決。
テイクオフゾーンの位置取り、旭川が再装填のためスタートゾーンに戻っているスキに慎重に得点するなど、戦略も駆使して得点をする釧路。
それに対し、場所も狙いもお構いなしで撃ちまくる旭川
対照的すぎて面白い!
実況・解説(試合後)>
釧路は(コロナで)学校が閉鎖されこみ入ったことができない、かつ難しい課題であったにも関わらず、それでも得点できたという経験は来年以降に活かしてほしい。シンプルであっても工夫がないわけではなかった。射出もただローラー回しただけだと噛んだ紙飛行機が暴れてちゃんと飛ばないのだが、安定して前に射出でき、得点を重ねられた。それは最後まで諦めずに工夫を重ねた成果だと思う。

決勝トーナメント

準決勝

第1試合 ★函館B vs 函館A 2−1
どちらも丁寧に飛ばす戦略の函館Aチーム、Bチームの同校対決。
紙飛行機も安定して飛ぶものを選りすぐりで選んでいる。どちらも手前のスポット狙い。
実況・解説(試合後)>
最後はちょっとした安定性で差がついた。
限られた時間の中でどう時間を重ねるか、臨機応変に対応できるかの判断力がBチームは良かったのかも。
Aチームのカタパルト式は、普通に作ると上に舞い上がってしまいちゃんと紙飛行機が押せない。それをこれだけ安定して飛ばしてたのはいろんな工夫が重なってのこと。

第2試合 苫小牧A vs ★旭川A 1−7
二刀流の苫小牧と紙吹雪の旭川の対決。
旭川の紙吹雪が出てる間は、苫小牧は紙飛行機を飛ばしても得点できる可能性が著しく低くなりそう…。(気流が変わるし…)
旭川がスタートゾーンに戻っている間に、苫小牧は旭川のロボットの進行の邪魔をするような位置(旭川側に近いスポット前)にまで移動していた。
実況・解説(試合後)>
苫小牧はチェーンを使っての射出もパチンコ式での大量射出も、「こんな手があったのか」というなかなか思いつかないアイデアを実現してきたアイデア力は高かった。

エキシビション

第1試合 釧路B
ロボットの移動は前後左右、左右回転が可能。紙飛行機の軌道はきれいな放物線。
ロボットはブルーのライトの装飾でかっこよく仕上げた。

第2試合 苫小牧B
上の八角形の機構はモクレンに似ていたのでそれに合わせて装飾も仕上げた。(プロジェクト名もマグノリア
メモ>エアーがなくなってしまい上段の機構の飛行機は飛ばせず!でも装飾といい動きといい、見る人を楽しませようという気概を感じるロボットでした。

第3試合 旭川B
紙飛行機を1枚1枚取り出すところが難しい点だった。
紙飛行機の形状は5月から30種類くらい試行錯誤して、コントロールしやすいものを選んだ。いわゆる槍飛行機をベースに、先端の形状などを調整した。紙飛行機もなるべく個体差が出ないようにしている。

第4試合 苫小牧A
二刀流のチーム。
精度はチェーンを使って飛ばす向かって右側の機構、数で勝負はパチンコ式で飛ばす左側機構というコンセプト。
右と左はコントローラーが別になっているので、左右で別の動きができる。移動は両方のコントローラーともできる。ロボットの進路は事前に打ち合わせしてる。

勝戦

函館B vs ★旭川A 1−5
確実にひとつひとつスポットを狙って得点を重ねてきた函館と、紙吹雪の大量得点の旭川の対決。
スタートと同時に函館は一気に旭川陣営側のスポットまで進出。旭川のロボットの動きを邪魔しながら得点を狙う。
旭川は故障することなく、今までどおりの大量射出。
函館は終盤、足回りにトラブル?スタートゾーンに戻ってから再スタートができなかった。

実況・解説(試合後)>
非常に戦略の違うもの同士の戦いだった。(今回の課題は)「紙飛行機を飛ばすロボットをどうやって実現するか」という難しい課題だった。一方で「こんなふうに作るのでは?」と思う作り方が、こんなにも難しいのかと。旭川高専のロボットはこれだけ高速に紙飛行機をピックアップして射出するロボットを、しかも何試合も安定しているものを作れたというのは本当に高い技術力がある。
(ロボットの外側だけでなく)見えない部分、ソフトウェアが非常に大きな役割を担っていて、単純に発射しているように見えるが実は細かくソフトウェアでコントロールしている。(函館の)操縦者はスマホ用のアプリを作り込んでそれで微調整をしていた。みなさんもスマホからロボットを動かせる未来を想像していると思うが、今日ここにいた学生さんたちがそういった未来を作ってくれると感じさせてくれる試合だった。

結果

全国大会出場チーム

  • 〈優勝〉旭川高専Aチーム「吹雪」(フブキ)
  • 〈推薦〉苫小牧高専Aチーム「ツインズ」

北海道地区大会 感想

出場チームの皆さん、おつかれさまでした!
そして全国大会出場決定2チームの皆さん、おめでとうございます!

優勝はまさに紙吹雪を散らす勢いで紙飛行機を飛ばし続けた、旭川高専Aチームでしたね。
すべての試合で不具合もなく、安定して連続大量射出を達成し続けた技術力とロボットの安定性、素晴らしかったです!
動かしながら紙飛行機を飛ばすことも可能で、本当に舞台装置のような紙吹雪っぷり。笑
全国大会でも北海道の吹雪を吹かしてくれることを期待しています!

もうひとつの全国大会出場校は、二刀流の苫小牧高専Aチーム。
全く違う2つの発射装置を作ってやろうという気概、そして自作のチェーンと紙飛行機の装填方法など、解説の鈴木教授からの評価も高かったですね!
全国大会でも二刀流で紙飛行機が空を切ることを楽しみにしています!

また北海道地区大会は、公立はこだて未来大学の鈴木教授による解説も印象的でした。
技術的なお話しはもちろんですが、勝ったチームのみならず、負けたチーム、ひいては出場した全高専生への愛と優しさが感じられる解説で勉強になる&心が温まりました。

全国大会出場が決まった2チームの皆さん、国技館での試合も楽しみにしています!