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※この記事は妊娠・出産に対しあまり意識が高くない筆者が自然妊娠した際の体験記です。人によってはその脳天気さ、意識の低さが不快・不愉快に感じることもあるかと思うので、デリケートな状況にある方はここで引き返してくださいませ。
お腹に自分とは別の生命体がいる可能性がある、ということに狼狽しながら妊娠初診の日を迎えた。
これで胎嚢が確認できれば妊娠確定となる。
比較的周期が安定していた生理開始予定日から2週間近く経っていたし、妊娠検査薬ではっきりと陽性のラインが出ていたので、まず妊娠していると考えて差し支えないだろうな…とは思っていた。(正常に育つかは別として)
が、それとは別に私には、生理開始予定日前から「これ、もしかして妊娠してるのでは…?」と思いあたることがあった。
それは、尿の臭いが今までと明らかに違ったのだ。
どうでもいいことだが私は自分の尿の臭いに変に敏感なところがある。
アスパラガスを食べるとどんなに細かく刻まれていようが少量だろうが尿の臭いが変わるので、「さっきの料理アスパラ入ってたな…」と気づく。
※ちなみにアスパラガスを食べた後の尿の臭いの変化に気付くかは、遺伝子タイプによるそうです。へー。
それが排卵日過ぎてしばらく経った頃から、明らかに「なんか臭いが変わった?濃いような、今までにない臭いが混じってるような気がする…」と異変を感じたのだ。
その頃はまだまだ暑い時期で、こまめな水分補給にはより一層気を使っていたこともあり尿の臭いに変化を感じることなどそれこそアスパラを食べた時以外ほとんどなかったというのに。
「臭いが変わったタイミング的にも、体調不良や何かしらの病気というより、妊娠なのでは…?」
とうっすら思っていたので、妊娠検査薬で即陽性が出たときは「やっぱり!この臭いは!妊娠していた!!」とオロオロしながらも大変に納得したのであった。
まぁ尿の話しはどうでもいいですね。
というわけで、家から一番近いおじいちゃん先生が半ば趣味でやってそうな雰囲気の産婦人科(分娩はやってない)へ向かった。
受付で問診票を渡され記入するが、
◇ 妊娠確定の場合:出産希望・出産を迷っている・出産しない
の項目で一瞬手が止まる。
夫とも話し合い【出産希望】のつもりでここに来てはいるものの、これ(出産希望)に○をつけたらもう引き返せないのだなぁ…と。
夫とは出会って10年近く経っていたしこの先2人で生きていくビジョンは漠然と浮かんでいたものの、そこに私たちの子どもが加わるビジョンはなぜかほとんど描いていなかった。
そもそも当初は別居婚だったし入籍にもそんなにこだわってなかったから、というのもあるけれど。*1
ここから一人の人間を少なくとも成人するまで育てていくとか、未知すぎる…。
そしてウッカリしていたが、一人とは限らない。すでにお腹の中にいる人が双子の可能性もあるではないか…!
双子が生まれる確率は遺伝的要素も強いと聞く。
私の家系は双子がちらほらおり、一番身近なところでは甥っ子は双子である。
ちょっと待って、双子だとまたそれは別の覚悟がいるぞ。
双子だった場合どうすんの、え、産むってことでいいの?ん??
という考えが手を止めた1秒ぐらいの間に頭の中を駆け巡っていたが、これ以上手を止めていると隣にいる夫が「え、本当は産みたくないの?え?」と不安になりそうだったので、エイやと【出産希望】に○をつけた。
いやほんと、産みたくないわけではないんだ…。
いい歳して色々未知すぎて、いちいち思考がショートするんよ…。
受付に記入済みの問診票をお返しし、順番来て呼ばれた後はあれよあれよという感じでおじいちゃん先生による問診と、経膣エコーのためにあの脚ががばっと開く台(雑な説明)に乗せられる。
「じゃあ器具入れるから、力抜いてね〜…」
この結果如何によって、いよいよ人生のターニングポイントを迎えるのだ…。
「…うん、あー、ほら、ここ。胎嚢と、もう心拍も確認できますね〜。妊娠してますね、おめでとうございます」
「…うわああああ、動いてる!なんか動いてる!!」
妊娠!確定!!
いやそうだろうと思っていたけど!
実際に胎嚢と健気に激しく動く心臓らしきものを見ると、今までの人生で経験したことのないふわふわした感動と興奮に包まれた。
と同時に、「動物系ドキュメンタリーで幾度となく見た妊娠という現場に!今私は!人間として、当事者として!存在しております!」というわけのわからない思いに満たされていた。*2
そして「心臓は…一つみたいだね、双子ちゃんじゃなさそうだね〜」という先生の発言に、今日イチ大きな声で「良かったぁあああ!!」と返してしまい、先生と看護師さんに「双子ちゃん大変だもんね〜笑」と笑われた。
へへっ、15分くらい前に「双子だった場合どうすんの」と一瞬本気で考えたからさ…へへっ。
「今は5〜6週って感じかなぁ。心拍は確認できたから、最終月経から算出した出産予定日で保健センターに申告して、母子手帳とかもらって来てね〜。次の健診から使える補助券もそのときにもらえるからね〜」
母子手帳!
私のお腹の中にいる私とは別の遺伝子を持った細胞が、これからヒトとして産まれる予定の存在として社会にも認識されるのか…!
感情がバグっているので、些細なことにもいちいち「おぉお、おおお!」と感銘を受けてしまう。
そして無事経膣エコーが終わり、引き続いて別室で看護師さんからの出産までの流れについてのお話しへ。
そしてこのタイミングで、今までふわっとしていた出産までに決めなければならないこと、決意しなければならないことがいきなり現実味を帯びて押し寄せてくるのであった。