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※この記事は妊娠・出産に対しあまり意識が高くない筆者が自然妊娠した際の体験記です。人によってはその脳天気さ、意識の低さが不快・不愉快に感じることもあるかと思うので、デリケートな状況にある方はここで引き返してくださいませ。
胎嚢と心拍を確認しふわっふわした興奮が冷めやらぬまま、「先生の診察はこれで終わりだけど、これから出産までのこととか説明するから準備できるまで待合室で待っててねー」と看護師さんに促され、移動する。
夫共々「ありがとうございました、ありがとうございました」と連呼しながら診察室を出て、改めてもらったエコー写真を見ながら「おぉお、おおお…」と言葉未満の何かを発していた。*1
「ソラリスさん、ご主人も一緒にこちらへどうぞー」
診察室のお隣の部屋に通される。
「HPや問診票にも書いてあるけど、当院では分娩はやってないのね。だから妊娠中期〜後期で提携先の分娩可能な病院に転院してもらうことになるんだけど…。まず、自然分娩か無痛分娩、どちらを希望してますか?」
「あ、無痛がいいです」
私は痛みにはそんなに弱い方では無い。
むしろ忍耐してしまう方なのだが、それゆえに以前親知らずを複数本抜いた際「ソラリスさんは普通だったら『無理!』ってレベルの痛みなのに我慢しちゃうから、『あ、これ痛いなしんどいな〜』って思った瞬間に教えてください、麻酔追加します。そんなに無理して耐えなくていいんですよ…」と歯医者さんに諭されたことがある。
なので出産に関しては最初から医師の管理下で痛みと進捗を管理してほしかったし、回避できる痛みなら極力回避したい。
「無痛をご希望ですねー。となると、うちから紹介できるのはJT堂か、T大病院ね…。現時点での病院のご希望はあります?」
「今のところT大病院にしようかなと思ってます(歩いて行けるから)」
「T大ね。T大だったら分娩制限がないから、そんなに急いで予約しなくても大丈夫かなー。一応JT堂の説明も簡単にしておくと、こちらは完全に近いくらい無痛にしてくれるので、すっっごく人気で、すーーーぐ予約が埋まっちゃうのね。だからもし『痛いのは絶対に嫌!』っていうのであれば、心拍確認できた今の時点でJT堂の予約の準備を始めたほうがいいかも…。T大の無痛分娩はある程度陣痛を感じてから麻酔を入れるから、途中まではそれなりに痛みを感じるやり方ね*2。それとT大は土日夜間は無痛分娩ができないから、もしその時間帯に陣痛が来ちゃったら自然分娩するしかないの。もし帰宅後に気が変わってJT堂にしたくなったら、早めに連絡してね!予約取れなくなっちゃうから!」
そうなのか…。無痛にこだわるならJT堂の方がいいのかもなぁ…。
JT堂もバスで行ける範囲で遠いわけではないし。
「あとは費用ね。T大病院で無痛分娩となると、標準でも100万円は覚悟しておいたほうがいいかな…」
たっっっっっか!
「ちなみにJT堂はT大よりさらにもうちょっと高くて、無痛分娩なら120万以上はかかるかな…内容にもよるけどね」
たっか! たっっっか!!!
な、何なん、この無痛分娩のハードルの高さ…。
いい歳して出産及びそれに伴う金銭に関する知識がなさすぎたツケなのだが、私は「10〜15万円くらいで出産の痛みを無くしたり大幅に減らせるならいいじゃん」ぐらいに思っていた。
しかし私が住む東京は出産費用が高いとされ、公的病院の利用かつ自然分娩でも出産費用は平均56万円(2022年度)である。
さらにこれが無痛分娩となると、東京でもそれができる病院・産院数が限られ、そのためなのか無痛分娩できるところはできないところよりも出産費用の最低ラインが10万、20万円単位で高い。
JT堂やT大はそこからさらに10万円単位で高かった。*3
その上で無痛分娩費用が10〜15万くらい加算される。
加えて病室の空き状況、出産措置の内容によっては数万単位で費用が嵩んでいく。
そうこうしているうちに、あっという間に100万円越えとかになるのだ。
2024年現在出産一時金として50万円もらえるとはいえ、これは、これは…出産をほぼ想定していなかった身としては、払えなくはないがビックリしてしまうぞ…。*4
そしてT大、月〜金9〜5時しか麻酔対応してもらえないのか…。
無痛分娩希望の場合は妊娠促進剤による計画分娩になるとはいえ、陣痛って結構夜中とか朝方に来るって聞くし、なんかちょっとギャンブルだな…。
結局自然分娩になるなら、無痛分娩はできないけどT大よりさらに近く多少安いN医大の方がいいのでは?
でも痛いの嫌だしな…でもな〜、JT堂な〜、高いな〜…。
「…大丈夫です、T大病院でいきます…」
「そう? じゃあ分娩先はT大病院の方向でうちでは進めていきますね!」
そして私はこの日から、「平日の9〜5時に生まれてくるんですよ…」とお腹の中のヒトを説得する生活が始まったのであった。
*1:ちなみにこの病院結構空いており、私たちのほかには患者さん1人しかおらずかつ産科にかかってるわけではなさそうだったので、待合室でエコー写真とか見てます。「流産したのに妊娠発覚したての人や順調な妊婦さんと同じ部屋で待機になって辛かった」という話しも聞いたことがあるので、念のため…
*2:無痛分娩といっても前述のJT堂のように極力陣痛をなくすやり方と、このようにある程度陣痛が来てから麻酔を入れるやり方が混在しているらしい。その辺の誤解を生まないよう、T大のHPには「無痛分娩(産痛緩和)」の標記と解説がある
*3:まぁNICUをはじめ高度な医療設備があるので、高齢出産ハイリスク妊婦としては費用が高くてもその点は安心&納得している…
*4:日本の医療のクオリティ、そもそもの産婦人科医の少なさ、さらに無痛分娩に対応できる麻酔医の確保の大変さ等々を考えればお金がかかるのは仕方ないし、病院や医師をはじめとするスタッフが犠牲になることは絶対に避けてほしいのだが、病院によって出産費用の最低金額がこんなに違うのは正直面食らってしまう…